では、不起訴にならず、起訴されてしまった場合は、どのようなことが起こるのでしょうか。
被疑者から被告人へと名称が変わる
まずは、それまで被疑者と呼ばれていた名称が、被告人へと変わります。呼び方の問題だけでたいした事ではないようにも聞こえますが、被告人にしか認められない権利があるので、意外と重要な点です。
被告人にしか認められない権利の代表的なものが、保釈の申請です。保釈申請については、保釈の申請についてにて改めて説明します。
被疑者勾留から被告人勾留へ
厳密に言うと、勾留の種類が変わります。刑事事件の流れで説明したように、勾留は仮に延長をしても原則として最長で20日間までという厳格な期限が定められています。ただ、ここでいう勾留は、起訴前の勾留のことで、起訴された後の勾留は含みません。起訴された後は、今までの勾留はそのまま被告人勾留へとその性質を変え、勾留はそのまま継続されてしまいます。
そして、この被告人勾留の期間は、基本的には2ヶ月ですが、一定の場合には裁判が終了するまで延長されることも認められていますので、長期の身柄拘束がされてしまうことになります。だからこそ、被告人勾留から解放されるための保釈の申請が重要になるわけです。
また、勾留される場所も変わり、被疑者勾留の場合には警察署の留置場で勾留されますが、被告人勾留の場合には法務省が管轄する拘置所で勾留されることになります。これは、起訴された以上、いつまでも捜査機関の手中で勾留されているのはフェアではないという趣旨です。
前科が付く可能性が非常に高くなる
起訴されてしまった場合の有罪率は、起訴される割合(平成30年度は約31%)とは、大きく異なります。現在、起訴された場合の有罪率は、なんと99%以上にのぼり、起訴された以上はほぼ有罪になるという状況にあります。裁判により有罪となると、罰金刑以上の刑が科され、前科がついてしまいます。これは、たとえ執行猶予が付けられた判決の場合でも変わらず、刑の執行は猶予されますが、前科として経歴には残ってしまいます。