建物賃貸借契約の解約申入れ2

建物賃貸借契約の解約申入れ2

期間の定めがない場合

前回は、期間の定めがある賃貸借について法定更新の制度をご説明し、法定更新された後は「期間の定めがない賃貸借契約」とされることをご説明しました。そこで、今回は、「期間の定めがない賃貸借」を解約する場合についてお話ししたいと思います。

期間の定めのない賃貸借契約は、いつでも解約の申入れをすることができます(民法第617条)。

まず、賃借人からの解約申入れの場合、申入れの日から3カ月を経過することによって契約は終了します(同条)。これに対し、賃貸人から解約申入れをする場合は、解約申入れの日から6ヶ月を経過することによって契約が終了します(借地借家法第27条第1項)。ただし、賃貸人からの解約申入れは「正当の事由」がなければ認められません(同法第28条)。

また、賃貸人から「正当の事由」のある解約申入れがなされた場合であっても、賃借人が建物の使用を継続し、賃貸人がこれに対して遅滞なく異議を述べない場合は、契約は法定更新されます(同法第27条2項、26条2項)。

建物賃貸借契約を解約する場合のまとめ

先回と今回でご説明したところをまとめますと、次のようになります。

(1)間の定めのある賃貸借契約

ア.賃借人からの解約申入れ
  期間満了の1年前から6か月前までの間に、更新拒絶の通知をする。
イ.賃貸人からの解約申入れ
  期間満了の1年前から6か月前までの間に、「正当の事由」のある更新拒絶の通知をする。
ウ.契約が更新された場合は、「期間の定めのない」賃貸借契約となる。

(2)期間の定めのない賃貸借契約

ア.賃借人からの解約申入れ
  3か月前に解約申入れをする。
イ.賃貸人からの解約申入れ
  6か月前に「正当の事由」のある解約申入れをする。

借家の解約をする場合の枠組みは以上の通りです。次回は、賃貸人からの更新拒絶又は解約申入れをする場合に必要な「正当の事由」についてご説明したいと思います。