相続財産の調査と評価
次に、自分の財産がどれだけあるのかを調べ、また、それぞれの財産の評価額がいくらなのかを計算する必要があります。相続の際に、遺言の中に書かれていない財産が見つかった場合、その財産についてだけ遺産分割が別途必要となりますので、相続人の負担になりますし、何よりその財産については本人の意思が反映されなくなっていまいます。
遺言の内容を決定する
続いて、自分がどのような遺言を残したいかを考え、決定します。
遺言の内容として、一番重要になる点は、やはり財産を誰にどのように分けるかについてです。先程の手順で明らかになった相続人に対し、どの財産をどれだけの割合で分配するのかを、自身の気持ちや価値観と向き合い、とことん考えた上で決めましょう。
なお、遺言には、財産の分配について等だけでなく、ご自分の気持ちなども併せて書くことができます。これを付言事項といいます。付言事項には、法的な拘束力はありませんが、ご家族への感謝やなぜ財産をそのような分配に決めたのかなど、ご自身の気持ちを書き記すことができます。やはり、財産の分配の理由や相続人への今までの感謝の言葉があるだけでも、相続人としては遺言の内容を納得し受け入れやすくなるものです。相続人に自分の意思を汲んでもらうためにも、付記事項にもついても何を書くか決めておきましょう。
どの方式の遺言にするか決める
最後に、どの種類の遺言を選んで作成するかを決めます。
そもそも、遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言という3つの種類があります。この中から、自分はどの方式の遺言にするかを選び、その遺言作成のルールに従って作成することになります。
それでは、この3つの遺言について、それぞれの特徴を見ていきましょう。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、自分で手書きにより作成する遺言のことをいいます。紙とペンと印鑑があればできますので、遺言の中で一番手軽にできるものであり、実務上も最も利用されています。
なお、今までは作成した自筆証書遺言は、自宅で各自が保管する必要がありましたが、法改正により、法務局で保管を頼むこともできるようになります(2020年7月10日に施行)。これにより、紛失・改ざんの可能性がなくなりますので、自筆証書遺言の有用性が上がるといえます。
自筆証書遺言についてはミスが怖い
ただ、自筆証書遺言は、守らなければならないルールが法律でしっかりと決まっているので、それを守らないと遺言自体が無効となってしまいます。例えば、財産目録以外については、全て手書きで書かなければならないとされているので、パソコンで書くことは認められません。
自筆証書遺言は、簡単に作ることができる反面、せっかく遺言を作っても相続時に最ももめてしまう可能性が高いものですので、注意が必要です。
※自筆証書遺言で守らなければならないルールについて、詳しくは「遺言でもめている場合」を参照。