不動産に用いられる評価基準は?
一般的に不動産を評価するための基準となる価額には、①固定資産評価額(固定資産税や都市計画税の算出に用いられる価額)、②路線価(相続税や贈与税の算出に用いられる価額)、③公示価格(国が土地取引の一般的な指標として鑑定した価格)、④時価額(取引価額)などがあります。
実際に故人の財産を分ける際には、この①〜④の基準となる価額のうち、④の時価額を用いて計算すべきとされています。
しかしながら、「では、時価で判断するといっても、この土地の時価は一体いくらなのか」という評価については、相続人間で異なる金額を主張し、もめてしまう場合が多々あります。
たとえば、ある土地を相続したいと希望する相続人は、この土地の評価額を下げた方が自分にとって得になるので(安い土地を相続するのだから、さらに余分に財産をもらえる可能性があるから)、時価額を低く査定した不動産業者の査定書を提出してくることが多いです。逆に、この土地よりも預貯金の相続を希望する相続人は、この土地の評価額を高くした方が自分に得なので(他の相続人は価格の高い土地を相続するのだから、自分は預貯金をたくさんもらえる可能性あり)、時価額を高く査定した査定書を提出することが多く見受けられます。
そのような場合には、どちらの評価額が正しいのか判断が難しくなってしまうので、最終的には裁判所が選んだ不動産鑑定士によって鑑定してもらい、その額をもってその不動産の時価額とされています。
時価額以外での評価もあり
もっとも、どんな場合であっても必ずしも時価で評価しなければいけないわけではありません。
相続人全員が、上記①〜④のどの価額によって評価を決めるのかについて、話し合って合意することができれば、その基準により評価を決めても構いません。
このような場合であれば、相続人の全員が納得しているわけですから、特に問題はないわけです。
【応用問題】
なお、残されている土地が現在他の人に貸されている場合には、その土地には借地権というものがついています。借地権がついている場合には、たとえその土地を相続しても、既にこの土地を借りている借り手がいるわけですから、自分の意思だけでその土地を好き勝手にすることはできません。ですので、このような場合には、この土地は「借地権という負担がついている土地」として、この借地権に値する分だけ価値が下がると考えられるため、その分減額されて評価されることになります。