任意整理の役割
では、任意整理という手続きにはどのような意味があるのでしょうか。上記の通り、任意整理では、借りた元本が免除されるようなことは通常ありません(過払い金がある場合を除く)。それにも関わらず、なぜ任意整理をする意味があるのかというと、その狙いは、今後の利息を免除してもらい、債務の総額を確定させてしまう点にあります。
そもそも、借金をした場合、その借金の返済金は、遅延損害金→利息→元本の順で充当されると決められています。となると、支払いが遅れてしまって遅延損害金が発生してしまっている状況では、どれだけ返済をしても、遅延損害金と利息ばかりに充当されてしまい、なかなか元本が減っていかないことになってしまいます。
そこで、このような場合に任意整理を行い、これ以上の遅延損害金と利息が発生しないように交渉し、債務の総額を確定してしまうことで、今後は着実に借金を減らしていけるようになるわけです。
任意整理のメリット
任意整理をした場合には、どのようなメリットがあるのでしょうか。それは、大きく分けて次のとおりです。
①今後の利息の免除
今後の利息を免除してもらえるように交渉します。交渉がまとまれば、トータルで支払う借金が少しでも減額されます。
②裁判外だから手続きが簡易で早い
任意整理は、あくまで裁判上の手続きではなく裁判外での交渉ですので、法律で定められた複雑な手続きはありません。ですので、裁判手続きと比べて、短い時間で解決できます。
③自己破産や個人再生のような大きいデメリットがない
別ページにて改めて説明しますが、自己破産や個人再生では、人によっては比較的大きなデメリットが生じます。しかし、任意整理では、以下の通りそこまで大きなデメリットは生じません。
④債務総額が大きく減額される場合がある
過払い金が発生している場合には、債務総額が減額される可能性があります。もっとも、グレーゾーン金利が撤廃され、最近では過払い金が発生している方も少なくなりましたので、実際には大幅な減額はあまり期待できません。