相続法の改正 親族の特別寄与料
1 特別寄与料とは
このたびの相続法の改正により、相続人以外の親族による亡くなった方に対する療養、介護などの貢献を考慮するための特別寄与料の請求という制度が創設されました。
具体的には、相続人以外の親族が、被相続人(亡くなった方)の生前に、無償で、療養看護などによって被相続人の財産の維持又は増加に特別の貢献をした場合に、相続人に対して、金銭(特別寄与料)の請求ができるというものです。
2 特別寄与料を請求できる人
この請求ができる親族は、相続人以外の6親等内の血族、配偶者、及び3親等内の姻族を言いますので(民法725条)、例えば、孫や曾孫、従兄弟姉妹の子や孫、配偶者の連れ子、配偶者の甥や姪などが、親族の特別寄与料の請求ができることになります。
3 現行法の寄与分と新設された特別寄与料との違い
(1)寄与分と特別寄与料の違いのポイント
また、現行の民法では、相続人について、被相続人の財産の維持又は増加に特別の貢献(寄与)をした場合の寄与分という制度が定められています。
この寄与分と特別寄与料とは、相続人であるか否かという点が違います。寄与分は相続人について認められる制度で、特別寄与料は相続人以外の親族について認められる制度です。
(2)具体例
① 寄与分が問題となる場合
例えば、長男Aとその妻Bが、Aの父Cと同居をして、病院への付き添いや入浴、食事の世話などの介護を行っていたという場合、父Cが亡くなり、長男Aと次男Dが相続するという場面で、妻Bが行ってきた父Cの介護を長男Aの寄与と捉えて、長男Aに寄与分を認めることができるかというのが、現行の制度である寄与分の問題になります。
長男Aが相続人だから寄与分の問題というわけです。
② 特別寄与料が問題となる場合
ただ、父Cよりも長男Aが先に亡くなっている場合、妻Bが義理の父Cの介護をしていたとしても、長男Aは既に亡くなっているため相続人ではないので、Bはそれまでの貢献を寄与分として主張することができないということになっています。
しかし、このような場合にも、親族の特別寄与料では、相続人の親族である妻B独自の寄与を考慮して、相続人である次男Bに対して特別寄与料の支払いを求めることができることになります。
4 特別寄与料の請求
この特別寄与料の請求は、家庭裁判所の調停や審判を起こして、請求することができるようになります。
ただし、特別寄与料の請求は、相続人及び相続の開始及び相続人を知ったときから6ヶ月以内、又は、相続の開始の時から相続の開始を知らなくとも1年以内に請求をしなければならないと定められています。
そのため、被相続人がなくなったことを知ってから、比較的短い期間に特別寄与料の請求は行わなければならないものとなっています。