離婚後の単独親権者が死亡した場合について
2017/08/04 カテゴリー: 離婚問題コラム
未成年者の子の父母のいずれか一方を親権者と定め父母が離婚した後、未成年者の子が成人に達するまでの間に単独親権者となった者が死亡した場合、未成年者の親権等はどうなってしまうのでしょうか。
離婚に際し、父Aと母Bとの間の子Cの親権者を母Bとして離婚した場合をもとに考えてみたいと思います。
民法では、未成年者に対して親権を行う者がないとき、後見を開始するとされています。
つまり、離婚後、Cの単独親権者となったBが死亡した場合には、Cに対して親権を行う者がない場合となり、後見が開始されることとなるのです。
この場合、C本人やCの親族などが家庭裁判所に対し未成年後見人の選任を申し立てることになります。そして、未成年後見人に選任された者がCの法定代理人として未成年者の監護養育や財産管理などを行っていくこととなります。
したがって、離婚の際に親権者とならなかったAが、Bの死亡によって自動的に親権者となるわけではありません。
それでは、AがCの親権者となることを希望している場合にはどうすれば良いのでしょうか。
この場合、Aは、家庭裁判所に対してCの親権者をAと変更する旨の親権者変更の審判を申し立てることになります。
審判の申立てがなされると、裁判所は、Aを親権者とすることが子の利益に適うかどうかという観点から判断を行います。
したがって、Aは実の父であっても必ずしも親権者の変更が認められるわけではありません。
AとCとの関係や、Cの意思、養育環境など具体的な事情を考慮して、親権者の変更を認めることがCの利益に適うと判断された場合に親権者の変更が認められることとなります。