あなたは過払い金を請求できる?
では、どのような場合に過払い金請求をできる可能性があるのでしょうか。原則として、過払い金を請求できる可能性がある方は、次のとおりです。
過払い金発生の要件
まず1つめは、①2010年6月18日より前に借り入れを行ったことがある方、です。上記のようにグレーゾーン金利が社会問題化する中で、2010年6月18日に改正法が施行されたことにより、グレーゾーン金利は完全に撤廃されました。ですので、この日以降に初めてお金を借りている場合は、過払い金は発生していないはずですが、この日以前であればグレーゾーン金利での貸し出しが行われている可能性が高いので、過払い金が発生している可能性が高くなります。
2つめに、②お金を借りていた貸金業者が倒産していないこと、です。仮に過払い金が発生していても、借りていた業者が倒産してしまっている場合には、過払い金を請求することはできません。
過払い金の請求期限
もっとも、過払い金を請求する権利は、最後の取引(最後に借り入れまたは返済をした日)から10年で時効になってしまいます。仮に10年を経過してしまうと、過払い金が発生していたとしても請求できなくなってしまいます。ですので、2010年6月18日より前にお金を借りたことに少しでも心当たりがある場合は、早めに弁護士に相談しましょう。
過払い金請求のデメリット
やはり過払い金請求をするにあたって気になる点としては、どのようなデメリットがあるかだと思います。過払い金請求においては、基本的には払いすぎたお金が返ってくるというメリットが大きいのですが、デメリットが全くないわけではありません。
ブラックリストへの掲載
すでに借金を完済している場合には、特段のデメリットはないのですが、発生した過払い金を債務残高に充当しても借入残高を返済しきれない場合には、次のようなデメリットが出てきます。
過払い金請求をするということは、任意整理をするのと同義になりますので、過払い金を借入残高に充当しても借金が完済されない場合には、信用情報機関に任意整理をしたという情報が登録されてしまいます(いわゆるブラックリストへの掲載)。こうなってしまうと、登録された時から5〜10年間は、新たにお金を借りたり新規のクレジットカードを作ったりはできなくなってしまいます。
過払い金の請求方法
過払い金が発生していた場合、貸金業者に過払い金を請求する方法は2つあります。それは、貸金業者との話し合いによる和解で支払ってもらう方法と、訴訟を提起して請求する方法です。
和解による方法
和解により請求する場合は、訴訟により請求する場合よりも、受け取ることのできる過払い金の金額が少なくなることが一般的です。過払い金請求は、法的には、過払い金そのものだけでなく、その過払い金から発生する利息(過払い利息)も併せて請求できるのですが、この過払い利息については訴訟を提起しない限り、貸金業者は支払ってくれないことが通常だからです。
もっとも、その分、過払い金を受け取るまでの決着するスピードは早くなりますので、早く支払ってほしい場合には和解による方法がよいでしょう。
訴訟を提起する方法
訴訟を提起する場合は、上記で説明したとおり、過払い利息分までキッチリと請求できることになります。もっとも、和解と比べて、解決できるスピードは遅くなりますし、別途訴訟の費用がかかってきますので、ご自分のケースではどちらの方法によった方がいいのかは、しっかりと弁護士と相談されるとよいです。
弁護士と司法書士のどちらに頼むべき?
過払い金請求を依頼できる専門家には、弁護士と司法書士がいます。では、どちらに依頼すべきでしょうか。
両者の大きな違い
弁護士と司法書士の大きな違いは、請求額が140万円を超える事件や控訴された事件について、代理権があるかどうかという点にあります。
弁護士の場合、担当できる事件に金額等の制限はありませんが、司法書士の場合には、140万円を超えてしまう事件や地方裁判所以上の裁判所で行われる事件の場合、その事件を取り扱うことができず、また、法廷に立つこともできません。
となると、具体的には、過払い金が140万円を超える場合や控訴されて地方裁判所で争うことになった事件には、対応できなくなってしまいます。
そのような場合には、改めて弁護士に依頼し直す必要が出てきますので、司法書士に支払った費用以外に弁護士への支払い費用が追加で発生してしまうことになり、余計に依頼の費用がかかってしまいます。
他方、弁護士なら、どのような場合でもワンストップで担当できますので、手続きが明瞭になり、安心して任せられます。