離婚した当事者の一方が再婚した場合の養育費
夫婦が離婚し、離婚に際して元夫が元妻に対して2人の子の養育費として毎月一定額を支払っていくと合意され、その後、どちらか一方が再婚した場合、養育費はどうなるのでしょうか。
1 支払を受けている元妻が再婚した場合
上記の事例で養育費の支払いを受けている元妻が再婚した場合、養育費はどうなるのでしょうか。この場合、再婚したからといってそれだけでは養育費の額は変わりません。元妻の再婚相手と子が養子縁組をした場合には、子の扶養義務は養親が実親に先立って負うことになります。そのため、養子縁組がされた場合には、養育費の支払義務が免除される可能性があります。
もっとも、養親の収入状況等によっては、養親が子を十分に扶養していくことが出来ない場合も考えられます。そのような場合には、実親の扶養義務は養親に劣後することとなるだけですので、実親は養育費の支払義務を負うこととなるでしょう。
また、民法は、扶養をすべき者の順序や扶養の程度又は方法について、「当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないとき」に、家庭裁判所が定めるものと規定しています(民法878条、880条)。
そのため、養育費は当事者間の協議が調った場合や家庭裁判所の審判があってはじめて具体的な扶養義務が変更されることになります。したがって、元妻の再婚相手と子が養子縁組をしたとしても、それにより直ちに養育費の支払義務が消滅したり減少したりするわけではないことに注意が必要です。
2 支払を行っている元夫が再婚した場合
養育費の支払いを行っている元夫が再婚した場合、元夫は再婚相手についても扶養義務を負うことになります。
そのため、この場合には、養育費の額が減額となる可能性があります。もっとも、再婚相手に充分な収入がある場合には、再婚後の養育費の算定上、考慮されない可能性が高いものと思われます。
他方で、十分な収入が無い場合には、養育費の算定上、再婚相手が考慮されることとなり、養育費の減額が認められることも十分考えられます。