クーリングオフについて
今回はクーリング・オフについてお話しします。
契約は一旦成立してしまうと、後で後悔して解約しようとしても相手方の同意がなければ簡単にはいきません。民法には詐欺や強迫があった場合に意思表示を取り消すことができることが規定されてはいますが、詐欺や強迫を立証するのは実際には大変です。
この点、クーリング・オフの方法では、民法上の法定解除および約定解除の原因がなくても、理由もなく当然に解除できるので、便利な制度といえます。
この権利が認められている主なものとしては、訪問販売(キャッチセールスを含む)が挙げられます。この制度の趣旨は、心理的に無防備な状態でセールス マンの売り込み攻撃を受け、心ならずも申込みや契約をしてしまった消費者に、冷静に再考する期間を保障することにあります。
クーリング・オフできる期間は、取引の形態によって異なります(各取引の形態等についてはまた解説をいたします)。法律で決められている書類を受け取った日(当日を含む)から、下記の期間はクーリング・オフができます。
訪問販売=8日間
電話勧誘販売=8日間
特定継続的役務提供=8日間
連鎖販売取引=20日間
業務提供誘引販売取引=20日間
クーリング・オフをした場合、支払った金額は全額返金されます。また、契約書に「キャンセル料」や「違約金」について書かれていても、これらを一切支 払う必要はありません。商品・権利の引取りにかかる費用は事業者の負担となります(着払いで返送できます)。通常使用してしまった商品であっても、契約を なかったことにできます。
このように、現在は消費者がこれまで以上に保護される時代になってきています。しかし、悪質な事業者は法律を守りませんし、ある程度お金を集めたら行 方をくらませてしまい、一切連絡がとれなくなってしまうことがあり、返金を受けることができると言ったところで有名無実になることも多く事後的な救済には 限界があるのが実情です。
結局は、私たち消費者一人一人が、消費者被害にあわないよう、消費者問題に関する知識によって、自分で自分を守ることがとなりますが、手口も巧妙化されてきています。
消費者被害にあったのではないかと思った場合には、すぐにお近くの消費生活センターまたは弁護士に相談されることをお勧めいたします。